告知事項とは? マイホーム購入時の事故物件やワケあり物件の見分け方

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カテゴリー: 不動産

 

物件を探しているお客様から「なぜ売りに出たんですか?」と聞かれることがあります。たとえば築年数がそんなに古くないきれいな戸建てが売りに出たりすると「何かあったのでは?」と思ってしまうのも無理はありません。

最近は事故物件、ワケあり物件に住む芸人さんがいたり、ドラマや映画の影響もあったり、以前よりも程度の差こそあれ、気にする方が多くなったかもしれません。 戸建てに限らず売りに出される物件の多くは、転勤やご実家の都合で故郷に帰ることになった、夫婦二人になってコンパクトな住まいに住み替えるなど一般的な事情によるもので、お客様から聞かれた場合は差しさわりのない範囲で理由をご説明します。たいていの場合、「それなら心配はないですね!」と笑って終わるのですが、販売されている物件の中には「告知事項あり」…いわゆる事故物件やワケあり物件と呼ばれるものがあるのも事実です。そこで今回はマイホーム購入時の、事故物件やワケあり物件の見分け方について説明していきたいと思います。

 

告知事項とは

不動産広告をよく見ると「告知事項あり」と記載されている場合があります。
告知事項とは「契約の判断を左右するような重大な欠点についてお知らせがある」ことを示します。この「重大な欠点」のことを法律用語で「瑕疵(かし)」といい、表面からは見えない、あるいは簡単に気づかないような欠点や欠陥がある状態を指します。つまり「告知事項あり」というのは、なんらかの瑕疵が存在するということになり、これが事故物件・ワケあり物件と呼ばれるのです。 告知事項がある場合、宅地建物取引業法で「契約が成立するまでに説明しなければならない」と定められているため、契約前の重要事項説明の際には必ず説明されます。

 

瑕疵の種類

「告知事項あり」には、瑕疵の種類によって主に4つのケースがあります。それぞれ見てみましょう。

・物理的瑕疵

物質的な欠損・欠陥のことを言います。たとえばシロアリや雨漏り、柱や基礎など構造上の欠損。給排水管の詰まり。土地の土壌汚染や地中の埋設物、耐震基準未満や軟弱地盤なども該当します。

・心理的瑕疵

購入するのに不安を感じる、住むのが精神的にキツイなど、心理的な抵抗や障害になる欠陥が心理的瑕疵です。自殺や発見までに時間が経過した孤独死、事件や火災での死亡事故などの他、ごみ屋敷や騒音など迷惑行為を行う隣人がいるというのも心理的瑕疵にあたります。事故物件に明確な定義はありませんが、一般的に心理的瑕疵の、特に死がまつわる物件を指すことが多いと思います。

・環境的瑕疵

不動産の周辺環境に問題やネガティブな要因があることを指します。たとえば、幹線道路沿い、陽がほとんどあたらない、氾濫しやすい川が近いといったこともそうですし、近隣に嫌悪施設がある場合も該当します。嫌悪施設というのは、多くの人が住まいの近くにあってほしくないと思う施設のことで、墓地、火葬場、ごみ焼却場、養豚養鶏場、風俗店、ラブホテル、ギャンブル施設、変電所、高圧線、廃棄物処理施設、刑務所、飛行場などの他、反社会的勢力の拠点といったものも挙げられます。

・法的瑕疵

法律によって物件の利用が制限されている、または法的な問題がある状態をいいます。たとえば市街化調整区域にある、接道義務違反などにより建て替えることができない「再建築不可物件」、また違法建築の建物なども法的瑕疵の物件に該当します。

瑕疵にはこれら4つの種類があり、心理的瑕疵は事故物件、それ以外がワケあり物件と呼ばれている感じだと思います。瑕疵の内容によっては「まったく気にならない」という人もいますが、夢のマイホーム購入ですからやっぱり「告知事項あり」の瑕疵物件は避けたいですよね。では告知事項ありの物件を見分けるためにはどうすればいいのでしょうか?

 

告知事項あり物件の見分け方

まずは物件を探す際、「特記事項」と書かれた項目に注目しましょう。告知事項がある物件の場合、特記事項のところに「告知事項あり」「瑕疵あり」「建築制限あり」といった記載がされています。具体的な内容まで書かれていることはまれですが、何らかの瑕疵があることがわかるので見分けるポイントになります。

1つ注意しなければならないのは、「不動産広告に告知事項を記載する義務はない」という点です。 告知事項があっても必ず記載されているとは限らないので、これを見分ける必要が出てきます。そこでポイントになるのが、「相場より極端に価格が安い」という特徴です。

瑕疵がある物件は一般的に相場より低い価格設定になります。特に心理的瑕疵の事故物件は割安になっている傾向があります。相場に比べて2~3割、中には半額くらいになっている場合もあり、安くなっているほど重大な瑕疵があると考えた方がいいですね。

物件を探し始めて同じエリアの情報をチェックするようになると相場感が身について、「これはかなり安い!」という物件があれば気づくようになると思います。でも、近隣相場と比較して極端に価格が安い物件は、不動産広告に「告知事項あり」と書かれていなくても絶対に何かあると思って間違いありません。条件に近い物件だったりするとつい前のめりになりがちですが、急いで内見希望の連絡をしたりせず、まずは情報を出している不動産会社に安い理由を問い合わせるようにしましょう。

先ほどお伝えしたとおり不動産広告に告知事項を記載する義務はないので、不動産会社によっては契約前の重要事項説明時まで、聞かれなければあえて言わないというケースもありえます。瑕疵物件を避けるためには購入に向けて動く前、気になった段階で確認するのがポイントです。

「実はこちらの物件は…」と理由を聞いた上で、まったく気にならないという人にはお得といえますが、 少しでも気になるようならやめた方がいいです。特に事故物件は人によって不安や嫌悪の度合いが違います。

たとえば私が過去にご案内したお客様にも、ご主人は心理的瑕疵を気にしないけど、奥様は病死でもイヤというご夫婦もいましたし、「そういうの全然気にしないタイプです」と言って実際に見学したら、「どうも気味が悪いのでやめます」という方もいらっしゃいました。昼も夜もそこで暮らすことになるマイホームですから、くれぐれも目先の値段に惑わされず、慎重に判断することをお勧めします。

今回は告知事項と事故物件やワケあり物件の見分け方についてお伝えしました。「告知事項あり」瑕疵物件だからといって、一概にいい物件、悪い物件とは言えませんが、「相場より安いのには必ず何らかの理由がある」という所がキモです。気になることがあったら不動産会社に問い合わせて、しっかり確認するようにしてください。

当社では物件のメリットやいいところだけでなく、人によってはデメリットになりそうな点も隠さずしっかりお伝えするよう徹底しています。そしてご希望があった場合、事故物件の見学も勇気を出してご案内させていただきます。気になることがありましたら、どんなことでもまずはお気軽にお問い合わせくださいね。